キャスター
昔と変わってしまった私を見て、昔の私がいなくなったことを悲しむ人に会いたいし、今の私を褒められたい
夫婦仲がいいね、いい夫婦だねって言われたいけどいい女だと見惚れられたい
結婚をしてからというもの、読者も日記も疎かになった
世界の全てを拒絶していた引きこもり時代唯一の支えになっていた文学よ、当たり前に共存できるって思っていたのだけれど
結婚する時の日記を読み返したら泣いてしまった
ずっと鬱だったのにようやく病院通いが決まってはじめて薬を飲んで、いちばんに寝込んでいた
助けてくれる人はいたのにどうしようもならなかった
寝てばかり泣いてばかり
死にたくて仕方がなかった
大体3年が過ぎて今はどうだろう
薬への頼り方を知っている
だけど将来が見えない
夢すら見られない
周りに迎合できるように語彙をまるごと変えた
まるで5歳児のように、下の名前を一人称にしたり
それでとても生きやすくなったよ
でもそれじゃ足りない
少女小説のような世界を持って文豪のおじいさんになりたかったのに
変わらないのは煙草だけだ