隣の芝生
いとこの家の匂いが好きだった
清潔な洗濯物の匂いのような感じがして、そこには穏やかな生活があった
我が家は機能不全家族だった
自分の家の匂いが嫌いだった
父親の体臭だろうかと思っていたが家族から出るストレス臭だったのではないかと今になって思う
いとこの家は仲が良く、いたって普通の幸せを生きていた
羨ましくていつも私は自分の家との違いで、惨めさで、辛かった
時は経ち、私は大人になった
いとこの親(叔母)と過去の話をして、私を頼っていいんだよと言われた
何も知らなかった訳じゃないじゃない、私の家族の不仲さも、私の不登校も、知っていたじゃない
あなたは何もしてくれなかったじゃない
そんな気持ちになってしまった
現在を心配してくれている気持ちが嬉しかった筈なのに
未成年は無力だ
思考は親から教育され、反発しても反抗期だと子供本人の性格の悪さのせいにされ、私は正解がいまだに分からない
私は大人になっても子供時代の不遇さとの折り合いが付かない
だって牛乳大人になんてなれないでしょう?
子供の延長があり大人になるのだよ
私は誰のせいだとしてもそれを憂いても失敗作だという事実はもう覆せない
そりゃ死にたくもなりますよ
ここまで良く生きたね、とも思う
今が1番幸せだ、とも思う
だけど子供時代も正しいものだったらきっともっと幸せだったのだよ
パチンコもタバコも薬もなくたって立派に生きられたような、そんな人生だってあったはずなんだよ
失敗作だ
長くは生きたくない
好きにわがままして早く寿命が来て欲しいんだ