キスマークは消えかかる頃がいちばんに美しい

紅を落とされてじんわり広がったみたいだった。うわきのあと、見つけて貰えなくてすこしつまらなく、わたしはまだゆっくりと進んでいく暖かすぎる幸福の中にいる。


恋をするにはとてもじゃないけど歳を取りすぎてしまったし、かと言ってただ快楽に溺れることは刹那すぎてさみしくて耐えられそうにない。

ひとつの世界しか持てないだなんて不安で不安でどうしようもない。

ふたつ世界を持ったって一方は他方に劣る、そんなこと分かってはいる。貴方でないと意味がないのです。


わたしは御自愛しまくるから「ごめんね満足させてあげられなくて」なんて笑われちゃったけどすごく嬉しいのそれ。わたしの感覚まで、もう既に2人のものみたいで。


やっぱり透明人間になりたい。

会えない時、貴方の脳内にいるわたしとやらはどんな子なのかしらすごくこわいの。

どうしたってそれ、別人でしょうから。

貴方の目に映って、わたしはどう立ち振る舞えば良いんだか分からなくなる。やっぱり透明人間でストーカーしてたい。生産なんかよりねえ、消費者、鑑賞者がいちばんに贅沢だよ。

芸術然り、ねえ恋だって。